耳鼻咽喉科?頭頸部外科学講座 留学便り
Karolinska Institute
Microbiology Tumorbiology Center (MTC)
高原幹
信じられない事ですが、留学してすでに1年以上が経過しました。本当にあっという間の事で自分でも驚いている所です。近況を報告させていただきます。
僕はジョージ?クライン教授(EBウイルス研究での大御所とされている)のサブグループに属するエバ?クライン教授の基で研究をしています。エバはジョージ?クラインの妻であり、今年で79歳になります。得意分野は、免疫系、特にNK細胞、T細胞の細胞障害機構に関するもので、なんと最近知ったのですが、NK(ナチュラル?キラー)細胞の名付け親はエバなのだそうです。エバグループ構成員はノエミ、ロリ(ルーマニア)、アンチェン(中国)がレギュラーメンバーです。
現在の僕の研究は、鼻性NK/T細胞リンパ腫細胞株SNK6におけるLMP1の発現制御の検討を主にしています。LMP1はEBウイルス由来の腫瘍関連蛋白であり、B細胞のEBVによる不死化に深く関連していると言われています。鼻性NK/T細胞リンパ腫も約半数の症例がLMP1の発現陽性であり、細胞株SNK6も強くLMP1の発現が認められます。そのLMP1は最近の知見にて、サイトカインにより強く発現が制御されている事が判明しており、SNK6でも同様な事が起こっていないか調べています。この実験はロリのテーマと重複しており、現在共同で実験を進めています。セルライン相手の実験のため、大学での臨床検体を使った実験よりは制限がなく、自由に時間を選べますが、それ故に高度の実験技術(トランスフェクションなど)が要求され、毎日試行錯誤の連続です。それでも自分としても興味のある分野なのでがんばって取り組んでいるつもりです。