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留学体験記 at Japan Community Health care Organization Chukyo Hospital

大坪 充



Japan Community Health care Organization Chukyo Hospital:

2022年4月?2024年3月の2年間、眼内内視鏡手術のメッカであるJCHO中京病院に国内留学し眼内内視鏡手術を研鑽しておりました。「目にも内視鏡があるんだ!へぇー!」って思う方もいらっしゃるかと思います。以前の私も同様でした。眼科顕微鏡手術は近年目覚ましい進歩をとげ網膜硝子体分野ではWide viewing systemが普及しより安全な手術が一般的となりました。しかし虹彩に隠れた眼内周辺部は眼外から圧迫での観察が一般的であり術中の疼痛の原因となること、角膜混濁例ではそもそも眼内観察が困難であり手術が難化することがあります。眼内内視鏡手術の利点として以下が挙げられます。




?無圧迫で眼内周辺部の手術が可能。(疼痛の軽減、眼球破裂など圧迫に抵抗のある例など)

?角膜混濁例でも眼内の治療が可能。

?術中の頭位にとらわれず顔を傾けることが可能(網膜剥離?巨大裂孔の廃液、仰臥位の維持が困難な症例に有効)。

?内視鏡を病変に近づけることで拡大観察が可能(周辺部増殖変化などの病変の詳細な観察?小裂孔の検索)。

達人と呼ばれるSurgeon達はこれらを克服しどのような症例も内視鏡を使わずとも治療可能かもしれません。しかし内視鏡を習得すれば若手でも達人に近い治療を可能にするのでは?眼内の死角が減ることでより良い手術を提供できるのでは?と考え国内留学を決めました。

JCHO中京病院では網膜硝子体班に所属し部長の加賀先生話始め松田先生、横山先生、森先生にご指導頂きました。網膜硝子体手術全例において内視鏡を併用するため無圧迫での手術が一般的でした。当初シャンデリア照明を併用し圧迫での手術を行なっていた私の手法を見たことがなかった専攻医に「どうしてもう1個穴を開けて目を押しながら手術しているんですか?」と真顔で言われるほどでした。毎晩熱心に先輩達が手術に一緒に残ってくださり、圧迫ありきで習得していた手法を変え、当初は内視鏡手術を困難に感じたものの数を重ね少しずつ習得することができました。角膜?斜視?緑内障?眼形成各専門外来が揃っており手術見学や症例相談に乗ってくださり眼科総合的に勉強となりました。

また光学?屈折への意識が高く、優秀なCertified orthoptistが多く白内障手術における眼内レンズ選択のアドバイスを多く頂き大変勉強となりました。トーリック適応が広く、より良い裸眼での見え方を追求する姿勢には疾患をただ治すだけではない強い意志を感じました。 名古屋での生活を楽しく過ごせたのは日夜仕事からプライベートまで苦楽を共にした専攻医達、よく食事に連れて行ってくれた先生方のおかげです。暑さに負けずに過ごすことができました。

人員不足の中名古屋に送り出してくれた医局員の先生方には大変感謝しております。今後の私の課題は内視鏡手術の応用、Surgeonの育成、臨床研究にあると考えています。より良い医療の提供のため精進致します。慣れた地を離れると見えてくるのは新しいものだけでなく自身を振り返る機会となります。研究?臨床を問わず外にでる機会があれば是非とも羽ばたいて見ることを勧めます。