思春期外来
婦人科思春期外来 毎週金曜 13:00~17:00 (最終受付16:30)
小学生~高校生までのお子さんための婦人科外来です。こわくない婦人科外来をめざしています。<担当:横浜 祐子>
当科では子宮頸がんの正しい知識を伝える活動をしています。お手伝いしてくれるえぞももんがのももさんです。
1.このような相談に対応しています
- 出血症状がある
- 月経不順(月経が頻繁過ぎる、月経間隔が空きすぎる)
- 月経が止まった
- 生理痛がひどい
- 月経血量が多い(1-2時間でナプキン交換が必要)
- 15歳になっても初経が来ない
- 月経直前の時期に繰り返す精神、身体症状で困っている
- 子宮頸がんワクチンを受けたい、詳しく聞きたい
- スポーツ選手の無月経
2.受診のご注意
- 婦人科外来なので、不登校や月経周期と関連のない精神症状には対応していません。そのようなときは小児科、精神科へご相談ください。
- 成人の女性と違い、なるべく内診をしなくても済むよう腹部超音波やMRI画像診断などを行っています。出血症状や初経がなかなか来ない等、必要性がある場合は外陰診察や内診をします。保護者とお子さんによく説明し痛みに配慮しながら診察します。内診や外陰診察は、お子さんにとって抵抗感の強い診察と思います。当科で配慮していることとしては
- 一般の婦人科で置いていない小さな器具を使っての診察をしています。
- 緊急性が高くなければ、初診時ではなく次回受診時に内診を考慮します。
- 多量の出血のときは短期間で輸血レベルまで貧血が進みます。そのような際は当外来を初診するまで待つより、できるだけ早く他の外来を受診してください。顔色がわるい、心臓がどきどきする、大きなナプキンを数時間以内にいっぱいになりとりかえている等の時は貧血が急に進んでいる可能性があります。
3.思春期と月経の異常について
思春期では月経を調節する脳と卵巣のネットワークが未熟なので、月経不順が起きやすい時期です。寝不足、受験でのストレス等でも月経異常がおきたりすることもあります。診察や採血検査で治療すべき異常がなければ体が成長するにしたがって症状がおさまっていくことが多いです。まずは治療すべき異常がないかみておくことが大事です。
4.予約制の外来です。予約の申し込みは
体の不調の予約
- 他院からのご紹介:主治医の先生から地域医療連携室を通じてお申し込みください。
- 個人でのご相談:<産婦人科外来0166-69-3870>平日9:00~17:00に電話をください(木曜9:00~14:00は除く)。当院は高度の医療提供をする特定機能病院なので、他院からの紹介状がないと初診料の他8,800円かかります。予めご了承ください。
子宮頸がんワクチンの予約
- 小児科は通院中の方のみ対応しています。小児科主治医におたずね下さい。
- 婦人科は以下2つの外来で対応。人数枠はHPVワクチン外来の方が多いです。ワクチンだけで初診する場合、特定機能病院受診料8,800円はかかりません。
HPVワクチン外来 第1,第3火曜日 15:00~16:15
婦人科思春期外来 毎週金曜 15:30~16:00
予約
- 電話 : 0166-69-3873
- 予約受付時間 : 月火木金の14:00-16:30
予約時に必要な情報
- 氏名
- 生年月日
- 旭川医大受診歴の有無(ある場合は診察券に記載のID番号)
- HPVワクチンの接種歴の有無(ある場合は接種回数とワクチンの種類)
- 予約希望の日程と時間
受診日の注意事項
- 自宅で検温し、高熱がある場合にはご連絡ください
- 接種券と記入済みの問診票を持ってきてください
- 肩が出しやすい服装で来院してください
HPVワクチン接種のながれ
- 予約
上記予約専用電話に受付時間内に電話してください。 - 当日受付
当院への受診歴がない場合には、初診受付にて診察券を発行する必要があります。15分程度早めの来院をお願いします。診察券をお持ちの方は総合受付または自動受付機で受付をしてから33番の産婦人科外来にいらしてください。 - 接種前説明
待合にて接種後の注意事項についてのビデオを見ていただきます。 - 診察?接種
医師による診察で、体調に問題ないことを確認し、ワクチン接種を行います。 - 経過観察
待合にて30分間の経過観察を行います。経過観察時間が終わったら終了です。
5.子宮頸がんとワクチン(HPVワクチン)-思春期外来のとりくみ
1人でも子宮頸がんで悲しむ人をなくすために。ぜひ知ってほしいこと。
20歳になったら2年毎に子宮頸がん検診を !小学校6年~高校1年までの女子は無料で子宮頸がん予防ワクチンが受けられます!
Q1 若くても子宮頸がんに注意するのですか?
A1 多くのがんは細胞の加齢が関わるので、年齢が高くなるほど発症しやすくなります。 ところが子宮頸がんは例外です。若いからこそ気をつけるがんです。 子宮頸がんの多くは、性的接触により感染するヒトパピローマウイルスががん化に関わっているからです。このウイルスが持続感染した人の中から腫瘍が発生します。性交経験のある女性も男性も、ほぼすべて感染したことがあると言えます。それくらいありふれたウイルスであり、普通の生活の中で感染するウイルスなのです。
Q2 20-30代の女性特有のがんで多いのは?
A2 子宮頸がんが多いです。
上のグラフのがんのうち、どんな方でも定期検診が有効なのは子宮頸がんと乳がんです。では、子宮頸がんは何歳くらいでかかることが多いのでしょうか。
乳がんに比べて、子宮頸がんはより低年齢から増加してきます。子宮頸がんは20歳からふえてくるので、検診は20歳から。乳がんは40歳から増えてくるので、検診は40歳からです。
ヒトパピローマウイルス(以下HPV)16?18 型は、感染してからがんに向かうスピードが速いことがわかっています。 そのため、20~40 歳代で発症する若い世代の子宮頸がんでは、特に HPV16?18 型の頻度が高いです。そのためHPVワクチンは16?18 型に対応しています。
Q3 子宮頸がんにかかるとどんなことが起きるのですか?
A3 進行すると痛みや全身の転移がおき、命にかかわります。日本で年間子宮頸がんでなくなる女性は約3000人。これは交通事故の死亡者より多いのです。 将来の妊娠?出産にもかかわります。子宮を残すことができても流産?早産のリスクを負います。思春期のみなさんのお母さん世代も注意しなくてはならないがんです。家庭から闘病生活でお母さんがいなくなるのは、 とてもつらく大変なことです。
お母さんが子宮頸がん検診をうけていなかったら、どうか検診に行くよう教えてあげてください。
Q4 HPVワクチンの過去の副反応報道が心配です。
A4 2013年政府から一時積極的なおすすめが中止されていましたが、日本人女子の安全性が再度確認され2022年から積極的なおすすめが再開しています。当時ワクチンの副反応ではないかと心配されていた様々な症状は、専門家の検討によりからだの細胞?組織がワクチンの成分で障害されたとは考えにくく、でも症状はあるという「機能性身体症状」と考えられています。また2014年までの副反応疑いをまとめた報告では、接種したあと1-2年以上たっての症状出現も副反応疑いとして報告されていますが、現在は接種後1か月以上経過してからの症状出現は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しいと専門家によって評価されています。痛み、月経不順、歩行障害、頭痛、身体が勝手に動くなどワクチンの副反応ではないかと心配された様々な症状は、国内の大規模調査でHPVワクチンを接種していても接種していなくても、同程度に思春期女子で起きうる症状であることがわかりました。
HPVワクチン後の様々な症状で考えられているもの
機能性身体症状
一般的に疲労、痛み、安定して歩けない、手足が勝手に動く、けいれんなどいろいろな症状が知られています。例えば緊張性頭痛は機能性身体症状の1つと考えられます。眠れなかった、テスト勉強?パソコンの仕事で目が疲れた時などに頭痛を経験したことはありませんか?頭の血管や脳の組織に障害がなくても、鎮痛剤を服用しなくてはいられないほどの状態になることがあります。機能性身体症状は精神疾患でもなく、気持ちの持ちようでもありません。機能的身体症状の誘因となるものに心理?社会的要因があります。心理?社会的要因には直接かかわるものと背景になるものがあります。例えばテストに向かう緊張から腹痛が生じたときの“テスト”であったり、症状とはっきりとしたつながりはないものの心に影響を与えているような本人の性格や家庭環境、学校環境などがあります。
予防接種ストレス関連反応(Immunization Stress-Related Response: ISRR)
ワクチンの種類に関係なく、接種後に呼吸困難感、どきどき、失神、接種後時間をおいて麻痺、異常な動き、言語障害などの症状がみられることがあるとわかりました。これはワクチンの成分で体が障害されたというものではなく、ワクチンに対する不安をベースにしておきたストレス反応と考えられています。予防としては、丁寧な説明をきいて不安を和らげることが大事とされています。
ワクチンの成分と直接関係のない事象“まぎれ込み”
思春期女子に起こりやすいものに、不正出血?起立性調節障害?片頭痛?心因性非てんかん発作などがあります。ワクチン接種と近い時期に症状があったのがたまたまだったとしてもワクチンの副反応疑いとして報告されます。
海外でも大規模なデータの検討が行われ、HPVワクチンを接種した方で慢性的な疾患の発症は増えないと評価されました。ワクチン接種をした腕の痛みや不安等が機能性身体症状を起こすきっかけとなったことは否定できませんが、すべて副反応であると仮定しても重い症状は1万人に5-7人の頻度できわめて稀です。子宮頸がんは生涯で76人に1人がかかるということもワクチンをうつかどうかの重要な情報です。
Q5 ワクチン後に心配な症状があったら?
A5 複数の診療科の専門家が連携して早期に適切な治療にあたることが大事です。心配な症状があった際、相談できる医療体制が整備されています。また機能的身体症状?予防接種ストレス関連反応はカウンセリングやリハビリテーションといった認知行動療法がよいとされています。専門医療機関の受診が必要な場合、当院も対応しています。
Q6 副反応はどんなものがありますか?2価、4価、9価の違いは?
A6 最も多い副反応は、注射部位の痛みや腫れです。2,4,9価で副反応に大きな違いはありません。
【HPVワクチン接種後の主な副反応】
ワクチン接種後に反射として失神が現れることがあるため、接種後 30 分程度は安静にして観察してから帰ることが大事です。
【HPVワクチン接種後の重い副反応】
今まで出回っているワクチンと頻度は大きくかわりません
【当初心配されていた病態】
現在のところHPVワクチン接種によって、以下の疾患は増えないことがわかりました。
- 複合性局所疼痛症候群(四肢損傷後に長期間持続する痛み)
- 体位性頻脈症候群(起立性調節障害の一つ。めまい、頭痛、吐き気など)
- 自己免疫性疾患
- 早発卵巣機能不全(若い年齢の卵巣機能低下)
- 静脈血栓症(血管に血のかたまりがつまる)
- 慢性疲労症候群
Q7 なぜ小学校6年~高校1年でHPVワクチンをうけるのですか?
A7 性的接触が始まる前のワクチン接種が最も有効だからです。
Q8 高校1年を過ぎてしまいました。ワクチンはもう無料でうけることはできないのでしょうか?
A8 ワクチンをしていなかった年代もキャッチアップ接種といって、無料でワクチンを接種することができます。誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日の方です。
2025年3月末まで無料です。この期間を逃すと、3回接種合わせて5万円~9万円程度かかります。
小学校6年~高校1年の女子も定期接種の期間をすぎてしまったら2025年3月まではキャッチアップ接種が受けられますが、そのあとは自費でしかワクチンをうけられないことになります。ワクチンを受けていない方は今一度、本当にワクチンを受けなくてもいいのかよく考える機会をつくりましょう。
Q9 ワクチンをうつスケジュールは?
他のワクチンとのタイミング:新型コロナワクチンとは 2 週間あける必要がある以外は、他のワクチンと接種間隔を開ける必要はありません。
定期接種でもキャッチアップ接種でも2,4,9価のどのワクチンを選んでもよいです。(2023年4月から9価も公費補助で無料になりました)
2価または 4 価ワクチンで子宮頸がんの 60?70%の原因となる ヒトパピローマウイルス16 型?18 型の感染が予防できます。9 価ワクチンは子宮頸がんの原因となるほとんどのHPV型をカバーするため子宮頸がんの 80-90%以上が予防可能になると期待されています。
- ヒトパピローマウイルス16, 18型感染してからがんに向かうスピードが速いです。どのHPVワクチンも16型、18型に対応しています。
- ヒトパピローマウイルス6, 11型子宮頸癌でなく、尖圭コンジローマという性器にできるいぼの原因になるウイルスの型です。これは分娩時にお母さんの産道で赤ちゃんに感染すると、赤ちゃんの気道に難治性のいぼができることがあります。呼吸が苦しくなるので何度も手術や処置を要することがあります。
- ヒトパピローマウイルス31, 33, 45, 52, 58型これらも子宮頸がんの原因になるハイリスク型のヒトパピローマウイルスです。
Q10 どこでHPVワクチンはうけられますか?お母さんはどこで検診を受けられますか?
当院のHPVワクチン接種外来
Q11 ワクチンをしなくても、子宮頸がん検診だけうけたらよいのでは?
検診で早期発見して、子宮の出口だけ切り取る円錐切除を受けて治ったとしても、早産のリスクを負うことになります。円錐切除をうけた後の妊娠で約20%の方が早産になっています。やはり頸がんにはならないほうがいいのです。
Q12 HPVワクチン接種したくても、平日日中になかなかいけません…
土曜日や平日遅くの時間対応している病院があります!
Q13 実際に接種した人の意見はどうですか?
長女(2年前に接種)に聞きました。
“接種してから数日は、注射したところに筋肉痛みたいな痛みがあったけれど、それくらいでした。いつものインフルエンザワクチンと大して変わりはありませんでした。母から子宮頸がんの大変さは聞いていたので、ワクチン3回で子宮頸がんの心配が減らせるならとても良いことだと思います。”
子宮頸がんを知ってもらうための活動
思春期外来では旭川市の小中学校、PTAのみなさんに、子宮頸がんをただしく知ってもらうための活動をしています。 子宮頸がんに、なぜ注意しなければならないのか? 子宮頸がんワクチンはした方がいいのか? 疑問に思っていたら、話をきいてみませんか。 リーフレット提供や講演をしますのでご連絡下さい。お問い合わせは下記にご連絡下さい。 メールアドレスを教えて下されば 以後はメールでご返信します。
〒078-8510 旭川市緑が丘東2条1丁目 旭川医科大学産婦人科医局 横浜祐子宛
なぜ子宮頸がんに対する活動をしているのですか?
産婦人科医は悲しい思いをした方をたくさん見てきているからです。
子宮摘出、抗がん剤治療をした20代女性。 若いころから気をつけなければいけないがんがあるなんて、今まで誰も教えてくれなかった、とおっしゃっていました。
進行したがんで亡くなった40代女性。最後までお子さんのことを心配していました。
子宮頸がんは若い女性、こどもを産み育てる年代の女性が注意するがんです。
どうか子宮頸がん検診を受けてください。 子宮頸がんワクチンを考えてみてください。
旭川医大の産婦人科で娘をもつ医師は7人います。 7人全員、自分の娘にワクチンをうった、またはこれからうちます。