○旭川医科大学病院医療ガス安全管理実施要項
平成16年4月1日
医療ガス安全管理委員会委員長裁定
(趣旨)
第1 この要項は,「医療ガスの安全管理について」(平成29年9月6日医政発0906第3号厚生労働省医政局長通知)に基づき,旭川医科大学病院における医療ガス(酸素,亜酸化窒素,治療用空気,吸引,二酸化炭素,手術機器駆動用窒素等をいう。以下同じ。)設備(配管端末器(アウトレット)以降の機器及び器具は除く。以下同じ。)の安全管理の実施に関し必要な事項を定めるものとする。
(安全管理体制)
第2 医療ガスに係る安全管理を実施するための組織,構成は次に定めるところによる。
(1) 監督責任者
監督責任者は,旭川医科大学病院医療ガス安全管理委員会(以下「委員会」という。)委員長をもって充て,医療ガス設備に関し監督し,実施責任者を指導監督する。
(2) 実施責任者
実施責任者は,麻酔科蘇生科長をもって充て,医療ガス設備の安全管理を的確に遂行し,監督責任者を補佐する。
(3) 使用責任者
使用責任者は,各診療科等の長が指名する者又は看護師長をもって充て,当該部署における医療ガス設備に関して,次の業務を行う。
ア 保守点検等の内容(別表第1)に関すること。
イ 医療ガス設備に異常を認めたときは,必要な措置を講じ,その結果を実施責任者に報告すること。
ウ 医療ガス設備の適正な取り扱い方法の周知等に関すること。
(4) 設備責任者
設備責任者は,施設課長をもって充て,医療ガス設備に関して,次の業務を行う。
ア 保守点検等の内容(別表第1)に関すること。
イ 医療ガス設備に異常を認めたときは,必要な措置を講じ,その結果を実施責任者に報告すること。
ウ 医療ガス設備の関係図面及び保守点検に必要な図書類の整備に関すること。
エ その他医療ガス設備の保守に関すること。
2 医療ガスに係る安全管理の業務を円滑に遂行するための指揮命令系統及び連絡系は,医療ガス設備安全管理体制(別表第2)に定めるところによる。
(名簿)
第3 委員会は,監督責任者,実施責任者,設備責任者及び使用責任者の名簿を作成し,保存するものとする。
(記録等)
第4 監督責任者は,次に掲げる書類を作成し,5年間保存するものとする。
(1) 保守点検を実施した時は,当該記録。
(2) 試験及び検査を実施し安全を確認したときは,当該試験及び検査に係る医療ガス設備試験及び検査合格証明書(様式第1号)。
(異常事態の通報)
第5 監督責任者及び実施責任者は,保守点検並びに試験及び検査の結果異常を発見したときは,直ちにその旨を関係診療科及び診療施設に通知しなければならない。
(遵守事項)
第6 医療ガス設備の安全管理に当たっては,次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 設備に用いられる機材をガスの種別により特定化して表示し,容易かつ確実に判断することを可能にするとともに非互換性を確保し,誤接続を防止する。
(2) 適正な使用材料,部品の選定及び清潔を維持するための施工管理を行うこと。
(3) 医療ガスの予備供給設備又は緊急用供給設備を保有すること。
(4) 警報設備(緊急警報と供給源警報)を完備すること。
(5) 厳正な試験及び検査を実施すること。
2 医療ガス設備の保守点検は,次に掲げる事項について行う。
(1) 始業点検
医療機器を配管端末器(アウトレット)に接続する前及び接続した際に,次の点を確認する。
a 外観上の異常がないこと。
b ロック機能に異常がないこと。
c ガス漏れの音がしないこと。
d 医療ガスの種別表示(記号,名称,識別色等)が明瞭であること。
e 配管端末器(アウトレット)に,使用していない機器等が接続されていないこと。
(2) 日常点検
ア 機器周辺を巡回し,ガス漏れや機械の異常音を聞くなど目視を重点に行い,事故の発生防止又は早期発見に努めること。
イ 日常点検時に異常を発見したときは,速やかに設備責任者に連絡をすること。設備責任者は,直ちに適切な処置をとり,処置完了後は使用責任者立ち会いの上で安全確認を行い記録すること。
(3) 定期点検
ア 定期点検の実施に当たって,委員長は文書により関連する各診療科等の長に対し,日程と実施内容の周知徹底を図ること。
イ 定期点検を行った場合は,定期点検結果報告書を監督責任者に報告すること。
ウ 点検のため,パイプラインの一部を一時閉止するときは,次に定める事項を実施すること。
a 関連する区域の各診療科等の長と事前に十分な打ち合わせを行うこと。
b ガスを中断した遮断弁とその系統のすべての配管端末器に,「使用禁止」等の注意表示札を付けること。
エ 配管の一部を取り外す作業があるときは,次に定める事項を実施すること。
a 1系統ずつ行い,2系統以上を同時に実施しないこと。
b ウ項b号と同様に「使用禁止」の表示札を付けること。
c パイプ内の汚染防止策を講じること。
d この作業終了後に使用ガスによるパージと置き換えを行うこと。その際,不純ガスが残らないようにパージする配管端末器を選ぶこと。
e 使用開始の前に次項に定める試験及び検査の要領に従って厳正な試験及び検査を行うこと。
f 「使用禁止」の表示札は,試験及び検査の合格前にはずしてはならない。
(4) 使用責任者及び設備責任者は,日常点検及び定期点検の内容について,厚生労働省及び文部科学省が定めた保守点検の内容(別表第1)によりチェックすること。
(5) 定期点検は,必要に応じて,所定の資格を有する専門業者に委託することができる。その場合,点検間隔は,施設の状況に応じて行ってよいものとする。
3 試験及び検査は,医療ガス設備の臨床使用に先立って,当該設備のすべてが安全で,かつ所定の機能を備えていることの立証を目的として,次に掲げる事項について行う。
(1) 共通事項
ア 試験及び検査の実施
医療ガス設備の試験及び検査は,実施責任者が監督責任者の下で行い,終了後は当該設備の検査合格証明書(様式第1号)を作成して委員会に提出すること。
ただし,軽微な修理等は除く。
イ 試験及び検査の使用ガスは,当該設備専用のガスで置換して行う同定試験以前は清潔な脱脂乾燥空気又は窒素若しくは炭酸ガスを用いること。
ウ 試験区域の配管端末器には,試験に着手する前に先立って「使用禁止」等の表示をしておくこと。
(2) 試験及び検査の実施は次に掲げる項目について行い,その実施方法等はJIST7101「医療ガス配管設備」に基づいて行うこと。
ア 外観検査
イ 交差配管及び配管閉塞の有無の検査(系統検査)
ウ 気密検査
エ 配管内の洗浄度の検査
オ 作動及び性能検査
カ 完工検査
(非常事態の対応)
第7 医療ガス設備の事故により医療ガスの供給が停止した場合等,非常時の対応については,次に定めるところによる。
(1) 予備設備の確保
各診療科等の使用責任者は,非常時の予備供給用として,必要に応じて酸素,笑気窒素等のボンベ及び圧力調整器を確保しておくこと。
(2) 非常事態発生時の対応
ア 使用責任者は,直ちに予備設備に切り替えるなど,患者の安全確保に努めること。
イ 設備責任者は,直ちに非常事態発生を関係者に知らせるとともに,原因を調査し早期復旧に努めること。
ウ 使用責任者及び設備責任者は,非常事態の内容について,速やかに監督責任者に報告すること。
エ 監督責任者は,患者の安全確保その他非常時に取るべき処置について,関係者に対し適切な指示を与えること。
(知識の普及及び啓発)
第8 監督責任者は,次の事項に関して,必要に応じパンフレットの配布及び講習会等を行い,医療ガス設備に関する知識の普及及び啓発に努めなければならない。
(1) 医療ガス設備の安全管理に関する諸規則及び医療ガス設備安全管理体制(別表第2)の周知
(2) 医療ガス設備の全般に関する知識の普及。
(3) 医療ガス設備の取り扱い方法の周知
(雑則)
第9 この要項に定めるもののほか,医療ガスの安全管理の実施について必要な事項は,委員長が別に定める。
附則
この要項は,平成16年4月1日から施行する。
附則(平成17年10月12日旭医大達第59号)
この要項は,平成17年11月1日から施行する。
附則(平成30年6月13日医療ガス安全管理委員会委員長裁定)
この要項は,平成30年6月13日から実施する。
附則(必威体育app下载3年9月3日旭医大達第146号)
この規程は,必威体育app下载3年9月3日から施行し,必威体育app下载3年4月1日から適用する。
別表第1(第2第1項第3号,第4号及び第6第2項第3号関係)
使用責任者及び設備責任者が行う保守点検等の内容
【使用責任者】
1 日常点検
ア 配管端末器(アウトレット)
a ネジ類のゆるみはないか。
b リングカバーのゆるみや損傷はないか。
c カチッと音がするまで,アダプタープラグの接続は確実にロックされているか。
d ガス漏れの「音」はしないか。
e 使用していない配管端末器に器具やホースアセンブリが接続されていないか。
f 不必要なアダプタープラグは外し蓋(カバー)をする。
イ ホースアセンブリ(耐圧管)
a ホースはねじれていないか。
b ホースに破損や亀裂はないか。
c アダプタープラグ金具に破損や変形はないか。
d ホースのガス別標識(記号?名称?色彩区分)は正しく,かつ明瞭か。
e ホースバンドや締め付け具はゆるんでいないか。
ウ ボンベ(ガス容器)
a ボンベの周囲に可燃物はないか。
b 専用スタンド?キャリアを用いているか。
c 圧力調整器(減圧弁)の破損や変形はないか。
d 圧力調整器(減圧弁)とボンベ接続部の締め付けが確実に行われているか。
e ボンベ内のガス量は十分にあるか。
f ガス漏れの「音」はしないか。
g 保管場所での転倒防止対策(鎖や専用ケース使用)が万全になされているか。
h 保管場所での空のボンベ,未使用の区別がなされているか。
【設備責任者】
1 日常点検
ア 供給源設備(ガス供給装置)
a 弁には常時,開閉の表示がされているか,また,その表示が正しい状態になっているか。
b ガス漏れの「音」はしないか。
c 圧力計,液面計は正常範囲か,酸素の場合にあっては,他のガスより送気配管圧力が約29.3KPa(約0.2Kgf/cm2)高くなっているか。
d 警報装置の表示灯の点灯はよいか。
e 連結導管のねじれ,凹み,折れはないか。
f ボンベの転倒防止は万全か。
g ガスの残量はどうか。
h 液化ガスの場合,異常な霜付きはないか。
i 圧縮ガスの場合,圧力制御部の外側の着霜,又は結露と異常なガス流音はないか。
イ 供給源設備(吸引供給装置?圧縮空気供給装置)
a 起動,停止の運転状況は正常か。
b 運転中の異常音,異常振動はないか。
c 消音器があるものでは効果は正常か。
d 給水を要する設備では,水位や水の循環排水(弁の作動と水量)に異常(漏れ)はないか。
e 電流計,電圧計,その他各機器の計器類の指示値は適正か。
f 圧縮空気供給装置の安全弁に漏れはないか,また,圧縮空気供給装置の露点計の指示は正常か。
g 圧縮空気供給装置のオートドレンの作動は正常か。
2 定期点検
ア 配管端末器(アウトレット)(2ヶ月点検)
a ネジ類のゆるみはないか。
b リングカバーのゆるみ,損傷はないか。
c アダプタープラグは,確実にロックされているか。
d ガス漏れの「音」はしないか。
e 配管端末器に使用していない器具やホースが接続されていないか。
f キャップなどの附属品はあるか。
g リングカバーの作動は正常か。
h バルブ機能(特にロック機能)は正常か。
i 定められたガスであるか。
j ガス流量と圧力は正常か。
イ 配管端末器(アウトレット)(12ヶ月点検)
a 固定配管の接続部の気密はよいか。
b ホース巻き上げ機能の作動状態はよいか。
c ソケットアセンブリの取り付け部の漏れとゆるみはないか。
ウ ホースアセンブリ(6ヶ月点検)
a ホースはねじれていないか。
b アダプタープラグに損傷や変形はないか。
c ホースのガス別標識(記号?名称?色彩区分)は正しく,かつ明瞭か。
d ホース締め付け具はゆるんでいないか。
e ホースの劣化,亀裂,ガス漏れはないか。
f ホースの漏れの有無。
エ 警報表示(2ヶ月点検)
a 表示灯及びランプカバーなどに損傷はないか。
b 表示灯の点灯状態はよいか。
c 警報作動時の可聴警報の消音,又は弱音の機能はよいか。
d 警報作動時の表示灯の点灯状態はよいか。
オ 供給源設備(2ヶ月点検)
a 駆動ベルトに損傷やゆるみはないか。
b 吸入口のフィルターに目詰まりはないか。
c 給水量,水温は正常か。
d オートドレンの作動は正常か。
e リザーバータンクにドレンは溜まっていないか。
f エアードライヤーの放熱板の変形,目詰まりはないか。
g コンデンサは汚れていないか。
h 除菌装置の清掃は行ったか。
i 殺菌灯の交換とその周辺の清掃は行ったか。
j 圧力計の指示値は正常か。
k ケース,機器の塗装の剥離や腐食はないか。
l 消火設備は完備されているか。
m 警報感知器は正常に作動するか。
n 遮断弁の窓板の損傷はないか。
カ 供給源設備(6ヶ月点検)
a 機器の固定はゆるんでないか。
b 電装品のリレーは損傷していないか,また,端子はゆるんでいないか。
c マニホールドの切り替えは正常か。
d 出入り口扉の施錠は万全か。
e 法定標識表示は明確か。
f 実施責任者氏名,緊急連絡先等は明示されているか。
キ 供給源設備(12ヶ月点検)
a ストレーナーの目詰まりはないか。
b アフタークーラーの気密は保たれているか。
c 安全弁の動作圧力は正常か,また,漏れはないか。
d 圧力スイッチ,真空スイッチの機能は正常か。
e 圧力スイッチ,真空スイッチ,圧力計,真空計の検定を行う。
f 除菌装置のフィルターの交換は行われているか。
g 圧力調整器のシート漏れはないか。
h 装置内配管は常用圧力で気密は保たれているか。
i 常時操作する弁の開閉は円滑か。
j 液面計?露点計その他の計器類の検定を行う。
k 1次圧力調整器の設定圧力は正常か。
l 警報電源装置の機能は正常か。
m 電源装置の絶縁抵抗は正常か。
n 遮断弁の漏れ(外部へ)はないか。
別表第2(第2第2項及び第8第1号関係)
医療ガス設備安全管理体制