眼科の地域医療創生に関する研究を行うため、2024年5月に本講座が開設されました。少子高齢化、医師の偏在により、都市部では受けられる医療が地方では受けられず、遠方への移動も困難で我慢するとおっしゃる高齢の方がいらっしゃいます。また、迅速に治療を開始すれば回復する病気で、治療が遅くなり回復が困難となってしまう方もいらっしゃいます。そのような地域の方に適切な医療を届けられるよう、問題点の抽出、その解決のためのシステム構築、利用可能な技術の導入、地域医療に貢献できるマテリアルの創生を目指し研究を進めていく予定です。
私はこれまで眼科医として診療と研究に携わり、眼炎症性疾患、緑内障を中心に仕事をしてきております。遠隔医療にも携わり、診療の効率化を図るシステム構築を検討してきました。遠隔のシステムを利用した研究として、留萌市で行なった疫学研究“るもい研究”を実施しています。これは、webシステムを利用し住民の方の眼底写真健診を行い、身体測定のデータ等も集め、目の健康には何が大事かを解析しました。眼底写真を用いた健診を行うことで、地域の方々の眼底疾患のスクリーニングをさせていただくとともに、疫学研究としてデータを取らせていただきました。今後は、このような診断技術向上と、地域医療にも貢献できる眼疾患治療法の創出を目指して、多くの企業や北海道の自治体のご支援ご協力をいただきながら、本講座を末永く発展させていきたいと考えております。
現在、医師の働き方改革もあり一層の効率化や新たな技術の開発は急務です。本大学の眼科学講座と協力しながら、地域医療に役立つ研究、また地域医療から眼科医療に役立つ研究を進めていきたいと考えます。
必威体育app下载6年5月13日
旭川医科大学 眼科地域医療創生講座
特任教授 木ノ内玲子